ロングトレイルとは

LONG TRAIL

「トレイル」 とは歩く道のこと。 登山道など自然の中の散策路のみならず、農道や町 なかの生活道も含め、歩くことでその地の環境を楽しむことができる道の総称。

ロングトレイルとは

「ロングトレイル」とは長く歩く旅を楽しむためにつくられた長距離道のことである。歩く旅は、古くは巡礼の旅として四国のお遍路、熊野古道、スペインのカミーノサンティアゴなど、各地で1000年を越える歴史を持つ。人間の行動の原点である「歩く」行為を通し、様々な「原点」にたちかえる旅路である。
近代的なロングトレイルは、アメリカで1920年代から整備され、現在は3,000kmを超える複数のトレイルが世界各国から多くの人々を集めている。地元に暮らす人たちがトレイルを歩く旅人を手厚くサポートする文化が醸成され、道標や施設などの整備、官民一体となった運用システムも機能している。
日本においても全国27,000キロメートルにおよぶ10本のロングトレイル、長距離自然歩道が1970年より計画されている。近年特に健康や自然への関心が高まるなかで、長距離自然歩道が再び注目を集め、各地で再整備、そして長期に渡る持続可能な運用システムを構築する計画が進んでいる。
再整備が進む長距離自然歩道は、無益な開発を留め、自然の中を自らの足で歩くことで環境意識を醸成し、心身の健康を保つための貴重な社会資本として期待されている。

ハイキングとは

「ハイキング」とは、健康のためや景観を楽しむため、その地域の歴史や文化にふれるためにトレイルを歩くことを指す。主に健康のために歩くウォーキングや、山道を歩くこともあるので登山とも重なる側面も。ハイキングを行う際の安全管理は、自己責任が基本である。

ロングハイキングとは

道中で食料や必需品の補給を必要とするロングトレイルを歩くハイキングを「ロングハイキング」と呼ぶ。時間をかけ長い距離を歩くため、トレイル途上にある町や村に立ち寄り、自動販売機やスーパー、商店で買い物をしたり、地産の特産品を飲食したり、温泉や銭湯で入浴、ホテルや宿に泊まることもある。
山頂を目指し、山道のみを歩く登山とは、そういった意味で違いがあるかもしれない。

ハイカーとは

ハイキングする人を「ハイカー」と呼ぶ。
ロングトレイル全区間を一度に数週間、あるいは数ヶ月かけて通しで歩くことを「スルーハイキング」、スルーハイキングする人を「スルーハイカー」と呼ぶ。
スルーハイキングに得難い魅力があるが、数週間の休みを取ることは、まだまだ一般的では無いかもしれない。そういった場合でも週末や連休を使い、トレイル各区間を日帰りや1~2泊で楽しむデイハイクやセクションハイクといった歩き方も十分に楽しめる。じっくりと時間をかけて各セクションを歩き、10年単位でロングトレイル全線踏破するハイカーも存在する。
ロングトレイルを歩くハイカーは、ホテルや民宿などに宿泊することもあるが、キャンプ場などでテントを張り、宿泊することも。背中の大きなバックパックには、衣・食住、毎日の生活に必要なものがすべて詰め込まれている。

ハイカーとは

ロングトレイルの魅力とは

自家用車バス、タクシー、電車などでは見向きせず通り過ぎてしまう、あるいは徒歩でしか立ち入れない道にある風景や歴史、文化、地域住民と「歩くスピード」でこそ交流する機会を得られる。
地域の人々と言葉をかわしふれあう中で、地元の方にひいきにされている飲食店舗や観光地として知られていない美景にめぐりあえる魅力もある。観光と地域振興の観点からみた魅力にも注目したい。
2019年に全線開通した『みちのく潮風トレイル』(東北自太平洋岸然歩道)を最新モデルケースに見れば、スルーハイカーの長期滞在やセクションハイカーの数度にわたる再訪による自然発生的な交流人口増加、それにともなう広域にわたる経済効果、インバウンド施策としての貢献、また、トレイルを歩くことで地域や人々に魅了され現地へ定住し始めたハイカーも存在することから、移住促進の側面も併せ持ちうる。
長く滞在するハイカー自身が広告塔となり、トレイルの存在が地域へ浸透するにしたがい地方自治体の後発的な観光誘致や地域住民の自発的な参加が始まるなど、トレイル開通後においても、一過性ではない成長しつづける観光資産として継続的な発展が期待できる。